母の口癖
母の口癖は「私に感謝しなよ」だった。
私が子供の頃 誰かに「可愛いね」と褒められれば
「可愛く産んであげた私(母のこと)に感謝しなよ」
私が大学を出て資格を取れば
「娘を大学に行かせて資格まで取らせた私に感謝しなよ」
私の結婚が決まれば
「好きな人と結婚させてあげる私に感謝しなよ」
幾度となく言われた言葉。
その言葉の通り
ずっと母に感謝していた。
心から、
純粋に。
「あんたなんか産まなきゃよかった」と言われた時でさえ。
「感謝」は美しい。
だが他者からの強制を伴えば
まるで呪いだ。
私の生き辛さはここから来ていた。
根本に
「自分の人生は母の許可があってこそ」
という刷り込みが入っていたからだ。
それはもう無意識に。
私はずっと自由を求めていて、
私の人生に誰かの許可なんて必要ないというのに。